【猫の思想】緊急事態
緊急事態宣言というが、どこが緊急なのだろうか。窓から見える景色は去年と全く変わらず、誰1人緊急事態になっていない。
「いや、なんだか走っている人が増えたような気がするにゃ!」
僕たちにとって緊急事態とは命に関わることだ。今にも殺され、食べられそうな状態だ。何も警戒せず寝ているようでは生きていけない。だから、寝るときは耳だけ済ませてたりする。
「家の中だとスイッチ完全にオフできるから好きなんだよにゃあ。」
そういえば、まだ生まれたての時は緊急事態が多かった。緑豊かな森を歩けば、太陽の光を反射させた細長い生き物に会うことはよくあった。
あいつらは手や足がないのにも関わらず、幼き頃の僕と同じような速度で移動できた。また、僕と同じサイズのものを食している場面に出くわしたこともある。
「なんて大きく開く口にゃんだ…」
天敵は必ずしも陸上にいるわけではない。たまに空から降ってくる時もある。あいつらは自由に空を飛回るからどこから飛んでくるかわからない。正直、1番怖い敵だ。
「やっぱりお家の中が一番だにゃ」
話は戻るが、どこが緊急事態宣言なのだろうか。うちにいる人間は今日も何やら文字をたくさん書いて、たまに本を読んでいたりする。
「普段よりも多くかまってくれるから、別に悪いわけではにゃい!」
「…!?」
「あぁぁぁ!別に良いなんていってにゃいんだからにゃ!」