【猫の思想】水、水、水
最近、家にいる人間は何やらステッパーという機械を使って、1時間程足踏みをしている。かなりの汗をかいていて、さぞかし辛そうだが、同時に読書をしているではないか。
「ストイックだにゃあ。」
歩きながらの読書は、一見非効率的だと思ったが、たしか、どこかで軽い運動中の方が脳の理解力・集中力が高くなっていると読んだことがある。なるほど、なかなか考えて物事を行うようになったか。上から目線に聞こえるようだが、事実、今僕は人間よりも上にいるから仕方がない。
「高いところほど安心する性格なのだ」
このステッパーという機械はすごく静かだ。人間が何回踏みつけても一切音を立てない。重厚感のある真っ黒なフォルムにどこか魅了される。
「すごくかっこいいにゃあ。」
このステッパーが入っていた段ボールもすごくいいサイズで、何回も入っては出てを繰り返す。段ボールの箱というものは、誰が開発してくれたのであろうか。非常に感謝したい。
そういえば、我々は箱を見せられると、勝手に中を予想する癖がある。これはどの友達に聞いてもそうであった。人間の場合、そのような予想をするのだろうか。予想に反したものが箱の中にあるともちろんびっくりして、すぐに逃げようと体が勝手に動く。
「それにしても毎日暑くてやってられない」
夏の暑さを忘れていたわけではないが、たいそう今年は暑い気がする。おそらくは来年も同じことを言っているのだろう。正直食欲が落ちているが、ちゃんと水分は取っている。
そこにいる人間も水分をこまめにとっているが、生きとし生けるものとして、水を飲まなくなったらどうなるかくらいは本能が知っている。
それでも、水分不足で倒れている人が多いんだとか。なんだか、最近は外を見ると全員顔に白い布を当てている。全く、こんなに暑いのに人間は脱水で死にたいのか、と思うほどである。
この白い布をつけて、何に恐れているのか、なんのためにしているのかはわからない。唯一わかることは、人間でなくとも水が大切なことくらいわかるということだ。
「こまめに水分補給!」
念押しでもう一度。
「こまめに水分補給!!!」