おにたろう日記

医学生の徒然なる日記blog

【猫の思想】いにしえのことのは

 太陽さんが笑っている。何かいいことでもあったのかな。そんなことを思いながら、大きなあくびを一つした。今日も人間はずっとおうちにいそうだ。

 言葉を学習して、ある程度わかるようになってから文字を読むことが多くなった。漢字は相変わらずよくわからないから、毎朝届くあの薄くて大きな紙はほとんど読めないが、あの紙もダンボールみたいで好きなことだけは言っておこう。

「僕にとって、あの紙は日付を見るためのものだ。」

 人間の使う日付は面白い。1つずつ増えていくのはわかるが、30の次に1が来たり、それが31の時もあるし、28の時もある。気まぐれなのだろうか。

「難しいことはわからないにゃ。」

 理解できていなくても生きていけるからいいのかな。むしろ、どのタイミングでそうなるのかを理解や把握できていない人間も多いのではないかな。

「本は知らなかったことを教えてくれるから大好きだ。」

 このおうちにはたくさんの本が置いてある。全く意味がわからないものから、白黒の絵だらけの物語、人間が肌を見せている絵しかないものと色々だ。

「なんだ服を着ない人間もいるのか。」

 別に僕の友達やまだ見ぬ友達が服を着ていないまま載っている絵を見ても全く楽しめないなと思った。だって匂いとかがわからないじゃないか。不思議にも、人間は服なるものを常に身につけているが嫌にならないのだろうか。一度この目の前の人間に服を着せられたが不快だったことを思い出した。

「本が読みたくなってきたな。」

 最近のお気に入りの本を読むため重い腰をあげた。そうそう、基本的に人間にはバレないようこっそりと本を読んでいる。なぜなら、一応は本を借りるとは言っているつもりなのだが、的確な返事が返ってきたことはないからだ。最近ではもう返事など期待していない。

「あの本また借りるにゃ。」

「なんで鳴いてるの〜。ご飯はさっき食べてたでしょ。」

「全く会話が噛み合ってないぞ。ちゃんと質問に答えろよお。」

 毎回こんな調子ではあるけど、僕のものでもないから、言わずに読んでいるとモヤモヤする。だから一言断ってはいる。

 この物語の文章は、説明を事細かく書いたりしてない。それに加えて若干今の人間が使っている言葉とは違っている。品が良くて、優雅さがあって使えるようになりたい言葉が多く登場する。

「いとをかし。」

感情が黄色になったらこれを言うみたいだ。

「太陽さんの笑顔に包まれ自由に空を泳ぐあの鳥は、いとをかし。」

 響きが非常に良い。詳細が書かれていないからたくさん想像できて、楽しい時間にゃのだ。さて、しばらく読書の時間にふけるとするか。まずルールの確認をしてからにゃ。

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