【猫の思想】氷、そして暑い
今日はとっても暑い日だにゃ。最近は太陽さんが頑張りすぎている。もっとおとなしくしてて欲しいけど、太陽さんがまだまだ本気でないことを僕は知っている。
「暑い、暑すぎるよ。」
あまりにも暑くなると、人間は部屋をしめて空気を冷やす機械を使う。あの機械はものすごく賢い。よくよく観察していると人間のいる方を目掛けて風を送り込んでいるし、たまに喋ったりしている。
「オンドヲ27ドニセッテイシマシタ。」
独り言を言っているのだろうか、人間が返事することはない。一瞬のうちに家が涼しくなっていく。
しかし、今日はこの機械は動かなそうだ。代わりに生温い風を送る機械が頑張って回って動いている。正直言ってこの機械はあってもなくてもさほど変わらない。
「暑すぎるなあ。しばらくはお外へのお散歩は自粛だな。」
自粛という言葉は最近になって覚えた。どうやら今流行っている言葉だと、公園での集会の時に先生に教えてもらった。意味は我慢するということに近いというが、まだよくわかっていない。どうして我慢することが流行っているのだろうか。
「人間は、我慢して何が楽しいのだろうか。」
この時期には、冷たい水の塊で氷というものを人間からもらう。湧き出る水のところに入れてもらっては舐めて楽しむ。この時に肉球を使って飲むと、肉球も冷えて気持ちいい。
「はひょ〜。」
以前、この氷を口の中に入れてどれだけ我慢できるか試してみたことがあった。あ、ここでも自粛という言葉は使えるのかな。つまり、氷を口の中に入れて自粛してみたことがあった。
「なんだか使い方があっていない気がするにゃ。」
氷はいつまでも冷たい。ずっと口に入れていると頭が痛くなってくるからせいぜい10秒が限界だった。
そうだそうだ、直接氷を人間の手から口に入れたときはパニックに陥った。
「なんだ、なんだ!?今日の氷は舌にくっついて取れない!」
口が乾燥している時に、氷を人間の手から直接もらってはいけないと学習した日だった。
それにしても暑い。早くあの壁にくっついた喋る機械が動いてくれないものか。水を飲みたかったが、どうも体が動いてくれないようだ。さらに寝転がるところを若干間違えた。首がもげそうだ。
「あぁ、首が落ちるぅ。」